学部・大学院の概要

教務委員・平野拓一

   年次 主な授業や活動 単位
学部 1年 前期 SD PBL(1), 電気数学(1), 電気回路概論
+共通分野(教養、外国語、体育)+理工学基礎科目(数学、自然科学、情報等)
MAX 20
後期 電気数学(2), 電磁気学概論, 電気回路基礎及び演習, 電磁気学基礎, 電磁気学基礎演習
+共通分野(教養、外国語、体育)+理工学基礎科目(数学、自然科学、情報等)
MAX 40
2年 前期 SD PBL(2), 電気電子通信基礎実験(a)(b)
+理工学基礎科目(数学、自然科学、情報等)+専門科目
MAX 60
後期 電気電子通信工学実験(a)(b)
+専門科目
MAX 80
(進級に60単位必要)
3年 前期 SD PBL(3), 電気電子通信応用実験(a)(b)
+専門科目

MAX 100
後期 【研究室配属】
技術者倫理, 先端工学, 事例研究(各研究室で)+専門科目

・この時点で成績が良い(上位半分)と、本学大学院の推薦進学の権利がある。
・学内のキャリア支援センターによる就職説明を聞き、就職活動を開始。
MAX 120
(進級に100単位必要)
4年 前期 卒業研究(主に研究室で活動。活動方式は研究室により少し異なる)

「卒業研究」とともに「技術者倫理」の授業は履修する必要がある。その他、卒業要件に不足している単位も修得する。
・大学院を受験する人は8月末に大学院入試(B日程)を受験。出願は6月頃。あるいはC日程入試を受験する。
MAX 140
後期 ・卒研中間発表(9月下旬)
卒業研究
・卒研最終発表(2月初旬)
卒業すると学士(工学)(Bachelor)を修得。
MAX 160
(卒業に124単位必要)
大学院 修士課程
(博士前期課程)
2年間 同じように授業を受けて必要単位を取得(学部ほど多くはない)+研究活動。1回以上学外で学会発表する。できれば、海外で英語で発表し、論文を書いて掲載されると良いが、必須ではない。
修了すると修士(工学)(Master)を修得。
博士課程
(博士後期課程)
3年間 海外での英語発表が必要。通常は、しっかりした学会誌に最低論文2本以上掲載していることが必要。
修了すると博士(工学)(Doctor, Ph.D)を修得。

■大学院の「入学者受入れの方針(アドミッションポリシー)」・「教育課程の編成方針(カリキュラムポリシー)」・「学位授与に関する方針(ディプロマポリシー)」

学部が受け入れたい人材: アドミッションポリシー参照 (大学HP > 入学案内 > アドミッションポリシー)
学部教育が目指すもの。育てる人材像: カリキュラムポリシー、ディプロマポリシー参照 (学修要覧(教育支援センターHP) > 理工学部 pp.51-52)

【学部ディプロマポリシー】
所定の年限在学し,以下の能力を身につけるとともに所定の単位数を修得した者に,学士(工学)の学位を与える。
1.幅広い教養を持ち,多面的視点から社会問題を捉えることができ,人間としての高い倫理観をもって,技術者が社会に与える影響,技術者の責任について十分に理解する。
2.電気電子通信工学で必要な理工学基礎科目に対応する基礎学力,電気電子通信工学の専門コア科目と専門科目に対する十分な知識と応用する能力を修得する。
3.電気電子通信工学分野の現実の問題に対して,理論的裏付けを持った実践によって,問題発見,解決する能力を有し,深い解析,考察により論理的に結論を導き出すことができる。
4.幅広いコミュニケーション能力を有し,他者へ的確に考えを伝え,協働することができ,電気電子通信技術の専門家として社会貢献,自己の将来設計を行うことができる。

大学院: アドミッションポリシー、カリキュラムポリシー、ディプロマポリシー参照 (大学HP > 学部・大学院・研究所 > 大学院)

【入学者受入れの方針(アドミッションポリシー):博士前期課程】

現代社会では、経済・社会・環境の3つの要素を考慮し、持続可能な社会開発が求められています。そのためには、確かな専門能力に基づき横断的かつ複合的に社会の諸問題を解決できる人材が必要です。そこで、入学を希望する学生には以下の項目に対して共有できることを求めます。

  1. 本学の掲げる「教育理念」と「教育目的」への共感
  2. 多面的かつ複合的な視点とそれに基づく論理的思考
  3. 未知な問題に対する強い関心とその解決に対するチャレンジ精神
  4. 専門的な能力を有するものとして必要なコミュニケーション力
  5. 人間として持つべき倫理観

■大学(学部)卒と大学院卒の給料の差について

(参考資料)大学院卒の賃金プレミアム ―マイクロデータによる年齢−賃金プロファイルの分析― (pp.19-20)

→つまり、大学院を修了した方が平均的には生涯賃金は高い。大学院に行くと授業料を払う必要があるが、就職すると給料をもらえるから就職した方が得だという考えは視点が短期的である。働く期間は40年(そのうちの5%の2年、12.5%の5年は長くはない)。大学院修士課程に行くと支払う学費は約200万円、増える給与は平均4,000万円となり、平均では3,800万円ほど増えることになる。(賃金の観点では、ほとんどの人は中卒・高卒で就職せずに、大学に進学したのも同じ理由ではないか?)
大学院に進学したい場合でも、そのときの家庭の経済的事情で進学を断念する場合もあるかもしれないが、今は奨学金の貸与を受けることはそれほど難しくはない。
→理系分野の企業(メーカー、IT企業等)では、当然ながら業務において高度な専門知識が求められる。就職して高度な専門性が必用な職場で働いた場合(エンジニア、研究者)は、大学院修了者の方が、長期的には有利になる確率が高い。実際にそのような職場では学部卒よりも大学院卒への期待の方が高いため、給料の上昇率も高い(平均レベルの期待値による)。さらに、高度な専門性を有し、広い知見と視野があると仕事も人生も楽になる(社会に流されて言われた仕事をするだけではなく、自ら情報を分析して問題点を指摘し、情報を発信して社会に影響を与えて変革することができる)。受けた高等教育の水準が上がるほど、能動的に考えて動ける自由が得られるが、同時に役職としては能動的に考えて動く責任が生じることになる。
→工学系・技術系の企業が多い日本では、大学院を卒業して就職に困ることはまずない(学部卒よりも需要が多い)。そのため、働きながら大学院で教育を受ける社会人コースも増え始めている。

※平均なので、本当は各サンプル(個人)を見るとばらつき、つまり分散がある。


■大学院進学のための能力と適性

ただし、高等教育に進むには、そこで要求される水準をこなす能力と適性、さらに、体力(締切に間に合わせるように地道に作業を進められるか、または直前にやるならば徹夜をものともしないこと)と精神力(打たれ強い。前向き思考=楽観的。自分の頭で考えて理解する。好奇心旺盛。オタク。社会に流されない=自分の哲学がある。自分で自分を評価できる。)が必用になる。昨今、国際会議での成果発表や英文論文誌への掲載を通して世界に情報発信することが求められているので、最低限の英語能力は必用となる。ただし、それほど高い能力は必用ではなく、下手でも会話ができて意思伝達・交流できればよい(交流する人に興味ってもらえることをしていること、そして、会話する積極性があることの方がTOEICなどの英語試験で高得点をとるよりもはるかに重要)。英文作成については自動翻訳が発達した現在では母国語がしっかりでき、論理性のある文章を書けることの方がずっと重要である(しっかりした日本語が書けないのに英文は書けるということは絶対にない)。このことを考慮した上で自分の人生を自分で決める必用がある。
 もちろん、人には適性があり、より高度な高等教育を受けた方が立派だというわけでなく、自分の適性を知って社会の中の役割(仕事)をしっかりこなす人こそ立派であると言える。

-- 義務教育(受ける必要がある。教育を受ける義務であり権利である)
小学校/中学校:行けば誰でも卒業できる。さらに勉強したいならば、より上位の高等教育を受けてもよい。
-- 高等教育(受ける必要はない。自らの意思で受けるもの)
高校:出席して与えられた課題をこなし、試験で合格点を取っていればよい。
大学(学部):出席はあまり重要ではなく、評価はあくまで修得度となる。授業ごとの評価基準(通常はシラバスに記載されている)に沿って合格点に達する必用がある。また、卒業研究では、解決の道筋は指導してもらえるものの、授業で学習した知識使い、自分で考えて解決し、結果について考察・検証を行う必要がある。
大学院(修士):学部で行った卒業研究をより高度にした研究を行う。授業もあるが、研究がメインとなる。研究の指示内容は学部よりも曖昧で自由度が高くなり、解決方法を含めてそれまでに習った知識を使って自分で考える必要がある。学会の原稿を論理的に書き、論理的に学会で発表する能力が必用となる。質疑応答に答えるために課題周辺の幅広い知識を得て論理的に考える必要がある。国際会議での発表があるので最低限の英語能力が必用なのは言うまでもない。
大学院(博士):修士よりも高い専門性を有する。資格(学位)としては最高位であり、専門家として一番詳しい知識を有するとみなされる。修了するためには学会発表のみならず、査読付の論文が学術論文誌に掲載されなければならない(査読=peer reviewとは、通常2名以上の専門家に読んでもらい、内容には新規性・有効性・信頼性などが備わっていることを確認する作業)、すなわち、今までの歴史にない新規性のある成果を出す必要がある(既存の知識の組み合わせも新規性とみなされる)。ここまで最先端になると、当然教科書を読むだけでは対応できず、(指導教員の指導の下に、あるいは自分で)複数の論文を読んで自分の研究に新規性があるのかを判断し、新たな問題を発掘して取り組む能力が必要となる。国際会議での発表、英文論文誌への投稿があるので最低限の英語能力が必用なのは言うまでもない。博士論文は1つのテーマに沿って新たな知見が得られるようにまとめ上げる。最終発表は一般公開の公聴会(学内外の専門家を集めて発表を行う)および非公開の審査発表会があり、厳しい質問に対しても耐えて適切に答える必要がある。博士論文は学内図書館とともに、国会図書館にも提出して所蔵される。


質問は教務委員・平野( thirano@tcu.ac.jp )まで。

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