Science, Technology and Society

4.神と機械


ガリレオとデカルトの機械論哲学/ボイルの実証主義/ニュートンの自然哲学

ヨーロッパ中世の大学で教えられていた自然哲学は,古代ギリシアのアリストテレスの自然学でした.アリストテレス自然学は,それ以上還元不可能な本源的な性質として熱・冷・乾・湿を定義し,それぞれが火・空気・土・水という「四元素」の物質によって担われているとしました.ここでは,性質のほうが物質よりも第一義的な存在です.つまり,物は性質によって説明されるのであって,その逆ではありません.それを逆転させたのが,17世紀の科学革命においてガリレオやデカルトによって創出された機械論的自然観でした.機械論的自然観では,性質は物体の運動によって現れる,二義的なものとなります.しかし,機械論的自然観は,実験科学を確立したボイルに受け継がれ,ニュートンに受容される過程でさらに変質し,再度,物在論(物に固有の性質がある)へと変化してゆきます.このような考え方の変化や対立は,世界における神の位置をどのように考えるかという神学的な議論と結びついていました.まだ,宗教と科学は同じ水源から発して並行して流れる川のように,多数の支流や運河で結ばれて交流していたのです.例えば,ニュートンは,宗教家であり,かつ錬金術師でもありました.→授業pdfファイル

機械論哲学(mechanism)による自然観

フランシス・ベイコンの帰納主義的方法=近代科学

ロバート・ボイルの経験主義

機械論哲学の批判者としてのアイザック・ニュートン

今週の科学者:アイザック・ニュートン(Isaac Newton,1642-1727)

英国の数学者・物理学者・錬金術師・宗教家.農民の出自であったが,才能を認められてケンブリッジ大学で学ぶ.数学と物理学を体系化した『プリンキピア』(1687年)は,以後200年以上に及ぶ科学の発展の土台となった.1703年には王立協会(英国の科学アカデミー)の会長に選ばれ,1705年には貴族に叙せられた.

より詳しく調べるための文献・URL
カナダMcMaster大学のThe Mind of Isaac NewtonのHP:http://www.ltrc.mcmaster.ca/newton/index.htm
英国Sussex大学のニュートン・プロジェクトHP(ニュートンの宗教や錬金術についても詳しい):http://www.isaac-newton.org/