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東京都市大学施設・研究所工学部・知識工学部関連施設機器分析室


分析機器一覧

機種選定につきましては、こちらをご覧ください。

分析機器 試料作製方法
透過電子顕微鏡(TEM),走査透過電子顕微鏡(STEM)
電界放出型走査電子顕微鏡
電子プローブマイクロアナライザ
X線光電子分光分析装置
複合X線構造解析システム
蛍光X線定性・定量分析システム
フーリエ変換赤外分光光度計
紫外可視分光分析装置
ラマン分光分析装置
走査プローブ顕微鏡
集束イオンビーム試料作製装置(FIB)
熱分析システム


透過電子顕微鏡(TEM),走査透過電子顕微鏡(STEM)

装置外観


動作原理

 一般の光学顕微鏡では可視光を試料に透過あるいは反射させ、ガラスレンズで拡大して観察していますが、数1000倍以上で観察すると像がボケてしまいます。透過電子顕微鏡(TEM)や走査透過電子顕微鏡(STEM)では電子銃で発生させた電子を試料に透過させ、電磁レンズを用い拡大観察します。これは波長の短い電子線を使うことにより高い分解能を得ることができ、数10万倍以上の倍率で観察しても像にボケを生じないからです。

電子顕微鏡はガラスレンズの代わりに電磁レンズを使用していますが、光学系は図1-1に示すように光学顕微鏡とほぼ同じです。また、STEMはTEMに電子線の走査機構を付加したもので、細く絞った電子線を走査したり特定の場所に照射することが出来る光学系となっています。


光学顕微鏡、透過電子顕微鏡、走査透過電子顕微鏡の光学系

図1-1 光学顕微鏡、透過電子顕微鏡、走査透過電子顕微鏡の光学系


 電子は大気中では数mの距離(鏡体の長さ)を空気分子に妨げられずに直進することが出来ない為、電子顕微鏡では筐体内を10-2Pa(10-4Torr)以下の真空にして用います。 また、試料の汚れを防ぐ目的で10-6〜10-9Pa(10-8〜10-11Torr)の真空にする装置もあります。

 電子銃から放出された電子はコンデンサ−レンズを通して試料に照射され、試料を透過した電子は対物レンズによって拡大結像されます。さらに投射レンズで拡大され、蛍光板上に結像されます。電子の透過力はきわめて小さいものですが、電子の加速電圧によって変化します。加速電圧を200kVにすると、 100kVの場合の1.6倍の厚さの試料まで観察できます。また、走査機構を利用し、細い電子ビ−ムを走査透過して観察すると、試料損傷を軽減させ、更に厚い試料が観察可能となります。しかし、いずれにしても数100nm程度の透過力しかありません。

 電子顕微鏡では試料の拡大像を得るばかりでなく、電子回折装置として結晶学的な内部構造を研究、解明することや、エネルギ−分散X線検出器(EDX)装着により、微小部の元素分析も可能となっています。これらの機構を利用するとX線回折法では粉末回折しか得られないような微結晶からでも単結晶としての解析ができます。また、マイクロディフラクション法を使うと20nm領域からの電子回折像が得られ、微小結晶体の解析に極めて有効です。

仕様(日本電子:JEM-2100F)

  1. 電子ビ−ム
  2.   加速電圧:80〜200kV(4段ステップ切換)

  3. 観察像
  4. 蛍光面、CCDカメラ、デジタル画像、写真撮影

    (a) 透過像(TEM)
      ・分解能  格子像: 0.1nm, 点間隔: 0.23nm
      ・倍率    50〜1,500,000倍
    
    (b) 走査透過像(STEM)
      ・分解能  0.2nm
      ・倍率    100〜1,500,000倍
    
  5. 試料
  6.     試料寸法  3mmφ以内の大きさ
        試料移動  ±1mm
        試料傾斜  モータ駆動
                 〔オプションとして回転ホルダ,二軸傾斜ホルダ(X,Y各+45゜) があります。〕
                 サイドエントリー方式
    
  7. その他
  8.   ・X線分析 (微少領域の元素分析)
     ・電子回折  制限視野回折(カメラ長 100〜1,300mm)
                  高分解能回折(カメラ長 470mm)
      ・マイクロディフラクション(極微小領域の構造分析)
     ・スポットスキャン(電子線をスポット状にして走査することで観察する方法)
            利点  (a) 厚い試料の透過像撮影が容易です。(例 金属薄膜)
                  (b) 試料のダメ−ジが少なくなります。(例 生物、高分子など)
                  (c) 電子照射で動きやすい試料でも止まった像として観察できます。
                  (d) 全く電子線照射を受けていない視野を最少の照射で撮影できます。
      ・EELS分析
    

使用例


カーボン繊維

図1-2 カーボン繊維の観察(鏑木先生御提供)

溶剤防止法で生成したセルロース繊維を3,000℃で炭素繊維にし、透過電子顕微鏡観察(加速電圧120kV)した例です。

カーボンファイバーの観察および電子線回折像

図1-3 カーボンファイバーの観察および電子線回折像(鏑木先生御提供)

飲み物などに添加されている食物繊維を3,000℃で炭素化したカーボンファイバーの電子顕微鏡像と電子線回折像を観測したものです。

          明視野像                   スポットABによる暗視野像

制限視野回折像


スポットAによる暗視野像         スポットBによる暗視野像

図1-4 制限視野回折による結晶構造の解析(菱山、吉田(明)先生御提供)

備長炭を2800℃で処理したときにできる黒鉛結晶でbright-field(明視像)と、dark-field(暗視像)、そのselected-area diffraction(制限視野回折)を示します。
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電界放出型走査電子顕微鏡

装置外観


原理および特徴

 走査電子顕微鏡(SEM)は図2-1に示すように、本体部とディスプレ−部に分けることが出来ます。本体部は電子銃、集束レンズ部、対物レンズ部、偏向コイル部、試料微動部、2次電子検出器、真空ポンプで構成されています。 また、ディスプレ−部には高電圧発生部、レンズ制御回路、表示ブラウン管、写真撮影装置などが組み込まれています。

図2-1 SEMの原理

 電子銃から出た電子を1個または2個のコンデンサーレンズ(集束レンズ)で細く絞り、その電子プロ−ブを試料表面に照射します。 偏向コイルで電子プロ−ブを2次元的に試料面上を走査させ、試料面からの二次電子や反射電子を検出器に受けて増幅します。 その強度に応じてブラウン管のビ−ム強度を変調しテレビ画像として観察します。 仮に試料面で2μmの部分がブラウン管面上で10cmになるようにすれば10cm/2μm=50,000倍となります。 走査電子顕微鏡による表面の凹凸や形態観察には、ほとんど二次電子像が使われます。 分解能は高性能な装置で0.6nm、小型の装置で10nm程度の値となります。 光学顕微鏡に比べて、格段に焦点深度が深い為凹凸の大きい金属破面なども立体的に観察できる特徴があります。

 また、反射電子を検出することにより、組成の違いによりコントラストを生じる組成像としても観察できます。 さらに、結晶試料表面の一点に電子ビ−ムを固定し、角度走査(入射角を変化させる)すると、 電子チャンネリング効果により電子チャンネリングパタ−ン(ECP)が得られます。 このパタ−ンを解析することにより、結晶の種類、格子面間隔、面指数などが分かります。

 電子顕微鏡に用いられる電子銃には熱放出型(SEM)と電界放出型(FE―SEM)の二種類があり、 電子銃の種類によりSEMの性能が異なります。それらの特性を比較して表2-1に示します。


表2-1 電子銃の種類と特徴

特性電界放出型熱電子放出型
構造
輝度比1,0001
電子源径0.01μmφ300μmφ
陰極温度室温2,300℃
陰極寿命 >2,000 hour50 hour
真空度10-7 Pa10-3 〜10-5 Pa


走査電子顕微鏡(日立製作所:S-4100)の仕様


	電子銃		電界放出型	
	加速電圧	0.5〜30kV(連続可変)	
	観察像		ブラウン管 メモリ画像 写真撮影	分解能		1.5nm
	倍率		20〜300,000倍	
	試料寸法	A. 26mm×20mmh以下	
			B. 152.4mm×20mmh以下	
	試料温度	室温	
	試料移動	X=100mm Y=50mm	
	傾斜		0〜+60°	
	回転		±180°	

使用例


(a)

(b)
図2-2 金属の破面観察(浅見先生御提供)
走査型電子顕微鏡で疲労破壊の起点となった介在物(a)を2次電子像観察した像です。 なお、相手破面(b)も同時に観察し、その抜けた様子および介在物によって叩かれているのがわかります。

図2-3 シャ−プペンシル芯の断面観察
0.5mm(HB)のシャ−プペンシル芯を破断しその断面を観察したものです。 右の拡大像は左側写真の白枠の部分を拡大したものです。

金蒸着膜の観察

図2-4 金蒸着膜の観察
磁気テ−プ上に金(Au)の真空蒸着膜を成長させ、金蒸着膜の島状組織を観察したものです。

Alのチャンネリングコントラスト

図2-5 99.5%Alのチャンネリングコントラスト
99.5%純度のアルミニウム板のチャンネリングコントラストを観察したもので、結晶粒がよく分かります。

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電子プローブマイクロアナライザ

装置外観


原理および特徴

 電子プロ−ブマイクロアナライザ(EPMA)は細く絞った電子線を試料表面に照射し、発生した特性X線を検出して元素分析する装置です。 したがって、走査電子顕微鏡(SEM)にX線検出部と制御および解析用コンピュ−タが加わっただけであり、電子ビ−ムの照射系はSEMと変わりません(第4.2.1図参照)。 X線検出部には分光結晶を利用した波長分散型(WDS)と半導体検出器を使ったエネルギ−分散型(EDS)とがあります。 それらの構成を図3-1に示します。



WDSのブロック図

(a)WDS

EWDSのブロック図

(b)EDS

図3-1 WDSおよびEDSのシステムブロックダイヤグラム

 WDSを装着した装置は検出感度や定量性に優れているが、試料表面の凹凸に影響されやすく分析時間が長いという欠点があります。 一方、EDSを装着した装置は試料表面の凹凸にあまり影響されず、短時間で分析できますが、 検出感度、定量性、エネルギ−分解能がWDSに比べて劣ります。

 EPMAは電子線の加速電圧を10〜30kVで用い、2次電子像または反射電子像を見ながら目的の部分に電子線を照射し、 試料中のどの部分に、どのような元素が含まれるかを調べる定性分析と、その場所の元素の含有量を調べる定量分析が行えます。 分析における二次元的分解能は、物質内部でX線が散乱するため分解能は約1μm程度で、分析可能な元素はWDSで4Be〜92U、 EDSで11Na〜92Uです。

 具体的な分析方法を以下に示します。

(1)面分析 元素の二次元的分布や濃度分布を調べる方法で、分布状態を写真及び画像として保存出来ます。
(2)線分析 電子ビ−ムを一直線に走査し、試料の一方向における元素の濃度勾配を知る方法で写真やチャ−ト紙で保存できます。
(3)点分析 試料の1点(約1μmφ)か、ある領域の定性分析や定量分析をする方法で、チャート数値として保存できます。
(4)相分析 面分析のデータから分析対象元素の相関を得たり。散布図中のクラスタを色分けしてフェーズマップそ作成することができます。
(5)状態分析 化合物の結合状態を反映した波形を有するX線スペクトルを測定する方法で化学結合の違いを見ることが出来ます。

 これらの他、EPMAによる元素分析ではないですが反射電子による元素の分布(組成像)を調べることが出来ます。次に、その原理を説明します。 反射電子は、入射電子の強度に対する反射電子強度の比(後方散乱係数)原子番号に依存します。すなわち、原子番号が大きい試料(あるいは領域)からは反射電子の量が多く、原子番号の小さい試料(あるいは領域)からは反射電子が少なくなります。よって、原子番号の大きな領域は明るく、原子番号の小さな領域は暗く観察されます。この原理を応用すれば、元素の分布である組成像を観察することが出来ます。しかし、実際には表面の凹凸による影響があり、 単純には組成の情報だけを引き出すことは出来ませんが、2つの検出器を使って実現できます。

 反射電子検出器を、図3-2に示すように入射電子線に左右対称に2個備え付けます。AとBそれぞれの検出器に入る反射電子の信号は、組成の異なる試料に対しては図の(a)になります。一方、凹凸による信号は図の(b)のようになります。左右ABの検出器の電気信号を、電気的に加算あるいは減算して組成あるいは凹凸のどちらか一方の情報だけを選別出来ます。 組成だけの情報で観察した像を組成像(COMPO像)、凹凸の情報だけで観察した像を凹凸像(TOPO像)と呼びます。


図3-2 反射電子の情報分離

(a)原子番号の情報、(b)凹凸の情報

仕様

 WDSとEDSの仕様を表3-1に示します。

表3-1 WDSとEDSの比較(日本電子:JXA-8200)

測定方法WDS(波長分散型)EDS(エネルギー分散型)
加速電圧0.2〜30kV(連続可変)0.2〜30kV
プローブ電流
波長分解能23eV128eV
検出器ガス比例計数管Si(Li)素子
検出範囲5B〜9211Na〜92
測定速度1〜20分(定性分析)数秒〜(定性分析)
多元素同時測定3元素全元素
試料のダメージ、汚染多い場合がある少ない
検出限界50〜100PPM1,000〜2,000PPM
試料の凹凸の影響検出強度に影響大検出強度に影響小
試料寸法100mm×15mmh以下100mm×15mmh以下
試料移動X=90mm, Y=90mmX=90mm, Y=90mm
傾斜0゚0゚
回転±0゚±0゚
標準試料必要なくても良い

使用例


(a) WDS

(b)EDS

図3-3 WDSにおける定性分析とEDSにおける定性分析

鉄系母材の上に銅メッキしてある試料の穴があいている不良部を定性分析を行いました。

(a)WDSによる面分析

(b)EDS

図3-4 WDSにおける面分析とEDSにおける面分析

図3-3で定性分析を行った不良部の面分析をWDSとEDSの検出器で行った結果です。

面分析

相分析

図3-5 針断面の面分析と相分析

縫い針を断面にして面分析を行いその結果を鉄とニッケルの2元素で相分析を行った結果です。

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X線光電子分光分析装置

装置外観


原理および特徴

 物質にX線を照射すると、その表面から光やX線や電子が放出されます。 X線光電子分光法はX線照射により放出される電子(光電子)を検出して、 主に固体表面にある元素の種類、原子の結合状態を測定する、いわゆる表面分析です。 簡単な原理図を図4-1に示します。


図4-1 XPSの原理

物質表面にエネルギ−hνの光子(X線)を照射し、放出した光電子の運動エネルギーをEkとすると、 その軌道電子の結合エネルギー(束縛エネルギ−)Ebとの間には、

b=hν−Ek−ΦSP (ΦSP:スペクトロメーターの仕事関数)

の関係が成り立ちます。そこで、hνが一定の特性X線を照射すれば、 放出電子のEkを測定することにより電子のEbが間接的に求められます。 理論的には全元素が分析可能ですが、感度などの点で現実には水素元素のスペクトルは検出されません。

 最小検出感度は他の分析機器に比べて良くありません。しかしXPSの特徴は表面の数原子層が分析可能なことと、 結合状態の変化によるスペクトルのシフト(ケミカルシフト)から原子間の結合状態を知ることができることです。 図4-2はケミカルシフトの例であり、炭素Cと他の原子の結合状態が変化することによって、C1sのピーク位置にシフトが認められます。 ところが、絶縁物の場合は、帯電によるスペクトルのシフトが起こり、さらに元素によってはX線によるオ−ジェピ−クが混在するので、 スペクトルの解析には、かなりの基礎データと経験による総合的な判断が必要です。

 照射X線には、単色化してないノンモノクロ光源(Mg Kα1,2,Al Kα1,2)、あるいは単色化したモノクロ光源(Al Kα1)を使います。 一般にモノクロ光源を使用した装置は白色X線によるノイズや他の特性X線による重なりが少ないため、スペクトル分解能や検出限界も良くなります。 また、モノクロ光源はX線を細く絞ることができ、微小領域(150μm)の分析も可能となります。


図4-2 C1sの束縛エネルギ−と化学結合状態

SURFACE SCIENCE INSTRUMENTS社製 SSX-100の仕様

	1.X線源		
		陽極    Al Kα線(1,487eV)	
		最大出力  0.20kVA(10KV-20mA)	
		単色化   あり

	2.アナライザ		
		エネルギ−範囲  0〜1,100eV	
		分解能      Au4f7/2で0.69eV半値幅	
		         Ag3d5/2で0.58eV半値幅

	3.試料・試料処理
		試料状態     固体、粉体	
		試料寸法     直径最大89mm,厚さ25mm以下	
		同時装着個数   任意	
		試料温度     標準:室温	
		         オプション:−165〜+450℃	
		イオンスパッタ  Arイオンガン
	
	4.測定機能		
		測定範囲域    150,300,200×750,400×1000μm	
		多試料自動分析  可能
		自動深さ分析   可能
		自動定性分析   可能
		定量分析     可能

	5.デ−タ処理:	コンピュータシステムによる高速処理	
		多試料自動分析
		波形分離、カーブフィッティング
		積算
		バックグランドによるデータの平滑化
		グラフ作製(X,Yプロッタ)

使用例


(a)ワイドスキャン:広範囲のエネルギ−スペクトルを測定

(b)ナロ−スキャン:Au4f5/2, Au4f7/2スペクトル

図4-3 金の分析


(a)Si2pスペクトル

(b)デプスプロファイル

図4-4 Si基板の深さ分析

Siウエハ−上に形成された100nmのSi酸化皮膜をArイオンガンによりエッチングしながら深さ方向の分析を行なった結果です

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複合X線構造解析システム

多目的粉末測定部微小部・応力測定部薄膜測定部
単結晶測定部ルーチン粉末測定部

装置外観


原理および特徴

 物質にX線を当てるとX線は物質に吸収されたり、散乱されたりします。 X線回折測定ではX線のブラッグ反射により物質中の結晶構造(原子の配列)について調べます。 通常、微粒粉末試料を用いるので、すべての格子面からのブラッグ反射を捉えることができます。

 波長:λのX線を格子面間隔:の結晶に照射すると、格子面に対する入射角:θ (これは反射角と等しい)が、

=2sinθ (ブラッグの条件)

を満たすときブラッグ反射が起こります。 この角度の測定より格子面間隔:が分かり、物質の結晶構造・種類を知ることができます。 また、元素の量は回折線の強度より、試料の結晶子サイズについては回折線の広がりから得られます。


図5-1 ブラッグ反射

 通常の測定の他、加熱しながらの測定やゴニオメ−タを変えることにより、試料の内部応力や薄膜に対する測定、 さらに高分子など格子面間隔の大きい物質の解析に必要な小角散乱回折実験などが行えます。 また、デ−タ解析にも各種ソフトが用意されています。

 装置は図5-2のように、X線発生装置、角度2θを測定するゴニオメ−タ、 回折強度を計測する計数(記録)装置、これらの制御とデ−タ処理を行う制御演算装置からなっています。


図5-2 装置の構造

仕様

多目的粉末測定

	形式    Bruker AXS,D8 Advance
	連続定格  3kW
	管電圧	  40kV
	管電流   40mA
	X線管球  Cuタ−ゲット
	検出器   1次元半導体Strip検出器
	解析ソフト 定性分析、定量分析、結晶子サイズと歪解析、格子定数の精密測定、動径分布関数

微小部・応力測定

	形式    Bruker AXS,D8 Discover with GADDS
	連続定格  3kW
	管電圧	  40kV(Cu), 35kV(Cr)
	管電流   40mA(Cu), 40mA(Cr)
	X線管球  Cr, Cuタ−ゲット
	検出器   マルチワイヤー式2次元PSPC
	解析ソフト 定性分析、歪解析、格子定数の精密測定、残留応力解析

薄膜測定

	形式    Bruker AXS,D8 Discover
	連続定格  3kW
	管電圧	  40kV
	管電流   40mA
	X線管球  Cuタ−ゲット
	検出器   NaIシンチレータ
	解析ソフト 定性分析、結晶子サイズと歪解析、格子定数の精密測定、結晶化度、動径分布関数、長周期、粒径分布解析

単結晶測定

	形式    Bruker AXS,Smart Breeze
	連続定格  3kW
	管電圧	  50kV
	管電流   30mA
	X線管球  Moタ−ゲット
	検出器   CCDチップ
	解析ソフト 単結晶の構造解析、格子定数の精密測定

ルーチン粉末測定

	形式    Bruker AXS,D2 Phazer
	連続定格  650W
	管電圧	  30kV
	管電流   10mA
	X線管球  Cuタ−ゲット
	検出器   1次元半導体Strip検出器
	解析ソフト 定性分析、定量分析

使用例


図5-3 NaCl(NaCl型構造(面心立方格子))

面心立方格子のNaClを粉末にして測定した結果です。

図5-4 Si(ダイヤモンド型構造(立方格子))

立方格子のSiを粉末にして測定した結果です。

図5-5 HgCl2(斜方晶子)

斜方晶系のHgCl2を粉末にして測定した結果です。

図5-6 Cr(体心立方格子)

体心立方格子のCrを粉末にして測定した結果です。

図5-7 X線反射率測定(XRR)によるAuスパッタ膜の膜厚解析

測定結果について解析ソフト:LEPTOS7によるカーブフィッティングの結果、膜厚は平均25nm程度と推定されます。

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蛍光X線定性・定量分析システム

装置外観

原理および特徴

 物質にX線を照射すると、一部は透過し、一部は吸収されます。吸収されたX線エネルギーは、二次効果としてX線、光電子、熱、光などを放出します。 物質を構成する原子の模型を図6-1に示します。図に示すように入射X線は、K殻、L殻などの軌道電子をはじき飛ばし(光電効果)、原子は励起状態となります。この電子の空位に外殻の電子軌道から電子が落ち込んで再び安定順位に戻るとき、それらの軌道間のエネルギーの差に相当する特性X線を放出します。 その特性X線を蛍光X線といいます。

図6-1 原子モデル

 特性X線は、物質固有のものであるため、これらの特性X線を検出することにより元素分析を行えます。この原理を応用したのが蛍光X線分析装置です。 本システムは、X線を細く絞って試料を走査し元素分布を調べるX線分析顕微鏡とX線を試料全体に照射して定性定量分析を行う全自動蛍光X線分析装置から構成されています。


 本装置は、液体、油、粉体などの試料が測定可能であり、4Be〜92Uまでの元素において短時間で高精度な定性・定量分析を行うことができます。 図6-3に示すようにX線管から放出されたX線を、試料に照射し、試料から発生したX線はソーラースリットで平行ビームだけに選択されます。 ソーラースリットを通過したX線は、分光結晶によって分光され、分光された特性X線だけが、X線検出器に検出されます。このような波長分散型(WDS)X線検出器を使用することにより高精度な元素分析が可能となっています。 特徴は、4kWの高強度のX線管と、それぞれの元素を効率よく分光するために10種類の分光結晶が用意されています。また超軽元素、軽元素、重元素用と3種類のソーラースリットなども用意され、 あらゆる分析試料に対して高感度、高精度の分析ができるように対処されています。 さらに、検出したデータをコンピュータ処理するソフトも最新のものが用意されています。


図6-3 蛍光X線分析装置構成図

仕様

全自動蛍光X分析<装置(理学:RIX―3000)

  容量     4kW
  管電圧    60kV
  管電流    100mA
  X線管球   Rh
  1次フィルタ 4種類自動交換
  視野制限機構 5,10,20,25,30,35mmφ
  スリット   Corase,Fine,超軽元素用
  結晶交換機  10結晶自動交換
  検出器    (WDS)
  軽元素用   F-PCカウンター
  重元素用   SCカウンター
  分析元素   4Be〜 92U 
  試料寸法   最大51mmφ×30mmh
  データ処理 (定量分析)
         PF法:グループ定量、フリー定量、オーダ分析、理論強度計算
         検量線法:マトリックス補正、BGフィッテイング
        (定性分析)
         数え落とし補正、スムージング、ピーク検索、バックグラウンド除去

         同定解析、含有率計算、ピーク分離、定量演算

使用例


図6-4 鉱物の定性分析

鉱物の粉末試料をガラスビード法で試料作成して定性分析したときの元素のスペクトルです。

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フーリエ変換赤外分光光度計

装置外観


原理および特徴

 赤外線を物質に照射した場合、ある条件を満足すれば、赤外線のエネルギ−が分子の内部エネルギ−に変換されます。 つまり条件に適合した波長の赤外線のみが分子に吸収されます。 同一のの赤外線を試料に通過させた光と、通過しない光との差をとることにより、吸収スペクトルが得られます。 特に有機化合物の分子の結合エネルギ−や振動エネルギ−は、赤外線のエネルギ−と同程度なため、よく共鳴吸収が起こります。 吸収される赤外線の波長は、分子の種類や分子の振動モ−ドにより異なるため、その組み合わせを調べることで定性分析が可能となります。 また、吸収スペクトルの強度や波長のずれにより、分子の数や分子の結合状態の変化を調べることが出来ます。 この原理を利用したのが赤外分光分析法です。

 赤外分光分析法には分散赤外分光分析法(IR)とフ−リエ変換赤外分光分析法(FT−IR)とがあります。 赤外分光分析法はFT−IRの登場によって、飛躍的に内容が変貌しました。現在では、赤外分光光度計といえばFT−IRが主流となっています。 当機器分析室のFT−IRは自己補償型マイケルソン干渉計、高速フ−リエ変換アルゴリズムの使用などによって、 従来のプリズムや回折格子を用いたIRではできなかった、高感度、高分解能で信頼性の高いデ−タを極めて短時間で得ることが可能となりました。 また、操作はパソコンによって容易になっています。


図7-1 FT―IRの構成と光路図

FT−IRの仕様

(パーキンエルマー Spectrum One、Auto IMAGE)

  波数領域   7,800〜225cm−1
  最高分解能  0.5cm−1(0.3,0.15cm−1)
  S/N比     120,000/1(180,000/1)
  干渉計    自己補償型マイケルソン干渉計(DynaScan)
  顕微鏡部   30倍、1〜400倍(CCD上)
  その他    顕微反射測定装置、ユニバーサルATR測定装置、
         高感度反射測定装置、液体用セル、MCT検知器

使用例


図7-2 Alのアルカリ系研磨溶液(ユニバーサルATR法)

アルミニウムの化学研磨溶液は酸性系が一般的ですが、これは研究で使用しているアルカリ系の研磨溶液のスペクトルです。

図7-3 ポリスチレン(透過法)

一般に使用されているフィルムを透過法で測定しました。

図7-4 Al表面の酸化皮膜(高感度反射法)

Alを酸性系化学研磨溶液で処理した表面皮膜を高感度反射法で測定した結果です。

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紫外可視分光分析装置

装置外観


原理および特徴

 物質による光の吸収は、赤外線のように分子の振動エネルギ−との共鳴吸収によるものの他に、 その原子や分子の基底状態にある軌道電子が光エネルギ−(E=hν)を吸収して励起状態に移動(電子遷移)することによって起こります。 その吸収の強さは波長によって異なり、吸収スペクトル(吸収曲線)は物質に特有のもので、これを利用して分析を行っています。 本装置は、紫外域175nm〜近赤域3300nmの広い波長範囲の分光が可能です。 したがって、本装置により分子、電子等の分光学的研究、発光、吸収による化学分析など、また表面の反射による波長特性を測定することが可能です。

 機器の構造を、図8-1に示します。


図8-1 紫外可視分光分析装置構成図

仕様(日立:U―4100)

  光源      重水素ランプ、ハロゲンランプ
  波長範囲    175〜3,300nm
  分光器     グレーティング・グレーティング
  検知器     光電子増倍管、冷却型Pbs
  積分球     150mmφ高感度積分球
  バンドパス   UV/VIS : 0.07〜5.00nm     NIR : 0.2〜20nm
  波長精度    UV/VIS : ±0.2nm          NIR : ±1.0nm
  波長再現性   UV/VIS : ±0.1nm          NIR : ±0.5nm
  迷光      220nm : 0.0001%T         340nm : 0.0001%T
  測光精度    1A : ±0.004A             0.5A : ±0.002A
  絶対反射角度  5°, 12°, 30 , 60°

使用例


図8-2 6価クロム溶液の測定

6価クロム溶液をジフェニルカルバジド用い640nm前後の比色を行い含有量の測定を行いました。

図8-3 アルミニウム表面の反射測定

アルミニウム表面の研磨処理の違いで反射率が違うことを測定しました。

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ラマン分光分析装置

装置外観


原理および特徴

 物質にレーザー光などの単色光(振動数ν0)を照射した場合、 その物質から散乱されてくる光には照射光と同じ振動数ν0の光(レイリー散乱光)と、 振動数がν0±νRの非常に弱い光(ラマン散乱光)が観測されます。

 ラマン散乱光のうちν0R をアンチストークス線、 ν0R をストークス散乱と呼びます。 ラマン散乱光は、その物質を構成する分子の振動、回転、伸縮に伴い分極率が変化するとき、 ある決まった波数だけ入射光よりずれて現れます。この波数値をラマンシフトといいこれを測定します。 ラマンスペクトルはその分子に特有ですので物質の同定が可能です。


図9-1 ラマン分光分原理図

 装置の構造にはシングルチャンネル式とマルチチャンネル式の2種類がありますが、 この装置はマルチチャンネル式で図9-2に示すように、 3つのモノクロメーターを直列に配置したトリプルモノクロメーターの構成であり、 分散モード、加分散モード、シングルモノクロメーターモードの測定モードを使い分けることができます。


図9-2 ラマン分光分析装置の構成図

仕様(JOBIN YVON/堀場:T64000)

  分光器配置      差分散トリプル
             加分散トリプル
  焦点距離       640mm
  回折格子       1800、600
  分解能        PMT:0.15 MCD:2.1
  開口値        F/7.5
  波数走査範囲     0〜1000nm
  測定波数幅      1024
  波数走査機構     サインバー方式
  波数精度       ±0.1cm-1
  波数再現性      ±0.2cm-1
  検出器        CCD、PMT
  CCD検出器タイプ  2000×800
  レーザー種類     Ar、He−Ne

使用例


図9-3 ダイヤモンドの測定


図9-4 黒鉛の測定


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走査プローブ顕微鏡

装置外観


原理および特徴

 走査プローブ顕微鏡(SPM)は試料表面に微小なカンチレバー(探針)を近づけて、 探針・試料間に働く物理量(トンネル電流、原子間力等)を検出しながら走査することにより、 微小領域の形状観察および物性分析を行うことができる装置です。 また、ナノオーダの表面硬さや密着強度を測定することのできるナノインデンテーションとナノスクラッチ機能が付いています。 主なSPMによる形状測定であるSTMとAFMのそれぞれの原理について説明します。

走査型トンネル顕微鏡(STM)

 STMは探針・試料間に流れるトンネル電流を利用して、高分解能な原子像観察を行なうことができ、 半導体や金属等、導電性のある試料の測定が可能です。 測定原理を図10-1に示します。


図10-1 走査トンネル顕微鏡構成図

 金属性の探針と導電性試料を微小電圧を印可した状態で、量子学的に電子雲が重なり合うような距離(1nm程度)まで近づけると、 トンネル効果によって電流(トンネル電流)が流れます。

 トンネル電流は距離に非常に敏感で、探針・試料間の間隔が1Å増減するとトンネル電流は約1桁変化します。 探針は3次元に移動する圧電素子に取り付けられ、トンネル電流を一定に保つようにZ軸を制御します。 Z軸の素子に加えた電圧を高さに変え画像化します。

原子間力顕微鏡(AFM)

 AFMは探針・試料間に働く原子間力(斥力あるいは引力)を検出し像にします。装置の構造を図10-2に示します。


図10-2 原子間力顕微鏡構成図

 探針・試料間に力が作用すると探針が上下にたわみます。 このたわみ量は探針にレーザーを照射した反射光を利用して凹凸検出し、 それを平面方向に走査して像にします。

 その他に摩擦力測定、粘・弾性測定、位相イメージング、磁気力測定、電界力測定、表面電位測定、電気化学測定などの機能も付いています。

仕様(セイコーインスツルメントツ:SPI3800)

  XY走査電圧   ±200[V]max
  サーボ電圧    ±200[V]max
  スキャン方式   DSPプログラムによるDAコンバータ制御方式
  検出系      光てこ方式 (半導体レーザおよび4分割変位検出系)
  分解能      面内:0.2nm   垂直:0.01nm
  試料サイズ    最大35mmφ×10mm
  走査範囲     最大150μm
  ローテーション  ±180℃
  最大測定データ  1,024×1,024
  同時測定     512×512 max

使用例


図10-3 アルミニウム表面の酸化皮膜の観察

アルミニウムの板を一般的に使用されているリン酸−硝酸系液で化学研磨したあとに生成した酸化皮膜の表面形状を観察したものです。

図10-4 Siパターンの観察

シリコンの表面に一定の間隔でパターンを切って表面形状を観察したあとに、任意の場所を自由にその横幅や高さを測定することができます。


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集束イオンビーム試料作製装置(FIB)

装置外観


原理および特徴

 液体金属(Ga)イオン源で発生させたイオンビームを利用した試料加工装置です。 イオン源より引き出したイオンビームを静電レンズで収束し試料上を走査させると、 2次電子が発生して走査画像を形成します。 また、ビーム電流を調整して一定の領域にビームを走査させることにより、 スポットでのピンポイント加工やラインの高速加工が可能となります。

仕様(日本電子:JEM-9310FIB)

  イオン源    Ga液体金属
  加速電圧    5〜30kV(5kVステップ)
  倍率      x50(視野探し)/x150〜x300,000
  像分解能    8nm(30kV時)
  最大ビーム電流 10nA(30kV時)
  可変絞り    5段(モータ駆動)
  加工形状    矩形、ライン、スポット
  試料ステージ  TEM試料用サイドエントリーゴニオメータステージ

使用例

 半導体、金属、セラミックス等のSTEM・TEM試料作製やSEM観察用の断面加工など


使用例

図11-1 加工例

試料:Si基板上の12.4×3.3μmの領域にカーボン保護膜を堆積後、Dose:5nC/μm2として矩形を組合せて加工

図11-2 硬質クロムメッキ被膜(HCP)の断面観察

図はメッキ被膜の故障解析において、本装置により断面試料を作成しEPMAで観察した反射電子組成像です。母材と被膜の間に異物の存在が認められます。


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熱分析システム

示差走査熱・熱重量測定示差走査熱測定
示差熱・熱重量測定熱機械特性測定

装置外観


仕様

示差走査熱・熱重量測定部

  メーカー・形式    METTLER TOLEDO・TGA/DSC1
  測定温度範囲     室温〜1600℃
  昇降温速度      0〜50℃/min
  天秤感度       10μg
  最大試料重量     1g
  雰囲気        窒素、アルゴン、乾燥空気
  雰囲気流量      0〜400ml/min

示差走査熱測定部

  メーカー・形式    Perkin Elmer・Diamond DSC
  測定温度範囲     -50℃〜700℃
  昇降温速度      0〜500℃/min
  雰囲気        窒素
  雰囲気流量      0〜400ml/min

示差熱・熱重量測定部

  メーカー・形式    Linseis・PT-1750
  測定温度範囲     400℃〜1750℃
  昇降温速度      0〜50℃/min
  雰囲気        アルゴン
  雰囲気流量      0〜400ml/min

動的熱機械測定部

  メーカー・形式    METTLER TOLEDO・DMA-861e
  測定温度範囲     -50℃〜900℃
  周波数数       10,100,1kHz
  雰囲気        窒素
  雰囲気流量      0〜400ml/min


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