暗号の数理

皆さんは「暗号」と聞くとどのようなことを連想するでしょうか?

スパイ映画のようなものを思い浮かべる人も多いかも知れませんし、仲の良い友達同士で他人には分からないように文通することを連想する人もいるでしょう。このように、自分が書いた文章を他人には分からない文章に変形することが暗号の第一義的な意味だと言えます。

他にも「暗号を知っている(あるいは所持している)のが特定の人物だけ」ということを利用すれば、身分証明をおこなうことも可能です。

例えば、日本の昔の忍者が連絡を取り合うとき相手に「山」と言われたら「川」と答えたことや、また昔の日本と中国との勘合貿易で使われた勘合符を知っている人もいるでしょう。(室町時代当時は倭寇と呼ばれる海賊が中国沿岸に現れていたため、日本と中国が勘合貿易を行う際に「私は海賊ではなく商人ですよ」と証明する必要があり、それぞれが持っている二枚の木片(勘合符)を重ねて身分確認をしました。)暗号(勘合貿易の場合は勘合符)にはこのように「身分証明」の機能を持たせることも出来るのです。

その他にも

など、様々なものが暗号だと考えられます。広い意味では外国語や古代文明の遺跡跡から発掘された文章なども暗号だと言えるかも知れませんね。

暗号を使う目的はおおざっぱに言って

(1)友人などに自分の手紙を送るときに、他人に読まれることを防ぐため
(2)自分の身分を証明のため

の2つだと言えます。

第二次世界大戦までは暗号はスパイや戦争などに使われることが多かったのですが、今日では通信技術が発達して電話やテレビやインターネットなどが普及するにつれて、我々のおこなう通信が途中で盗聴されないためや、銀行決済などで口座を操作する際の身分証明など、暗号の応用も大きく広がってきています。

ここでは主に暗号を中心とした数学について、以下のトピック毎に解説をします。

総説

具体的な暗号の紹介