ヒューマン なぜ人間になれたのか(NHK)
1.旅はアフリカからはじまった
チンパンジーは積極的には協力しないが、人間は積極的に協力する。遺伝子は2%の違い。
二足歩行→せまく楕円の生みにくい産道→子孫を残すために協力は不可欠
気持ちを察する、心を読む能力が、協力には必要
視覚情報→視覚野へ→映像処理
視覚野損傷しても、人間の顔の情報は、視覚野以外に扁桃体に送られる。ブラインドサイトと呼ばれる。命に係わる情報は扁桃体に送られる。心を推察するのは歴史の始まりから必須の能力だった。これなしに他人との協力が必要な集団生活はできなかった。粘菌などの原子生物は仲間とは協力するが、異質なものとは協力しない。
74000年前、インドネシアのスマトラでのトバ火山爆発(100q×30q)の飛散物が世界を覆い、気温が12度下がる。→植物絶滅の危機→動物→人の食糧不足(2年以上)→移動しても状況は好転せず。→一握りが生き残った。これが人類の子孫。
刃物に好適な黒曜石は友人関係を示す。→トバ火山の爆発以後、同じ黒曜石の分布が広がった。→見ず知らずの人との協力関係の広がり→生存へ。
見ず知らずの人と分かち合う心は、すべてぼ国の国民に受け継がれている。100を見ず知らずの人と分かち合うとしたら、いくつを自分で取るか。日本56:44、米:53:47、少なくとも20は相手に渡す。
2.グレートジャーニーの果てに
60000年前、アフリカから世界へ。グレートジャーニー。
霊長類の出産期間は長いが、人間は早めた。
早い離乳→出産頻度高まる→人口増→土地が必要→厳しい氷河期に移動、他の動物は南に移動。ネアンデルタール人もヨーロッパから南下。50万年前に枝分かれ。
ネアンデルタール人→強靭な肉体、知能に差なし→飛び道具不要→ホモサピエンスとヨーロッパで生存の戦い→道具の発明に至らず絶滅
ホモサピエンス→弱い肉体→生存のため飛び道具発明(投擲具)→小動物を食用に、安定した食料確保→世界へ広がる投擲具、ホモサピエンス
アボリジニは80年前まで様々な用途に投擲具ウーメラを使用→大型動物の捕獲にも活用→九割の大型動物絶滅→ウーメラは罪を犯した仲間の罰に利用→ルールを守る心を強化
コントロールできる空間が広がり、人数も多くなる→大脳新皮質の大きさに依存したコントロールできる人数(150人)を超える集団の制御→アイディアの出し合い→アメリカ先住民の集会所ホープウェル希望の泉→集団のネットワークの大きさが人間の強み
ネアンデルタール人はネットワーク持たず、道具発展せず絶滅
エスカレートする人類の戦う力→集団同士の敵対→戦いを避ける移動の場は残されていなかった→
人が殴られると不快だとに反応する島皮質、悪い人間が罰を与えられると快感を感じる側坐核→罰することに快感を感じることで集団を守る
3.大地に種をまいたとき
パプアニューギニアでの農耕は多品種少量生産→試行錯誤、土地を守るため数年ごとに隣人と戦う民、共同集会と馳走振舞いによる緊張緩和
狩猟は闘争力を要するが対象は動物→闘争のホルモンと言われるテストステロン上昇→農耕により闘争本能は隣人に向かった
農耕の始まりは12000年前の西アジア、肥沃な三日月地帯
氷河期の終わり近く気温が上昇→定住による農耕開始→争いの痕跡多数
少ない収穫(品種)と収穫期に容易に飛散する種→隣人との縄張り争い→異なる部族が集まる共同儀式で緊張緩和→貴重希少な麦をビールとして振舞った
1500年かけて突然変異、儀式により広範囲の栽培→さらに1500年後に栽培種増加→人口の世界拡散、突然変異を繰り返し、多収穫の品種へ(種が飛散する必要のない、多収穫の品種)→蓄える
オキシトシン信頼のホルモンが、闘争ホルモンを制御する。
農耕の西アジアからヨーロッパへの拡がり、黒海周辺の小麦生産地→温暖化→世界的な洪水被災→世界各地へ移動→麦の爆発的広がり
4.そしてお金が生まれた
お金以前の世界のルール=なんでも平等、富が蓄積しない社会、配って当たり前。
シリア北東部のハッサケ地方(メソポタミア文明発祥)、テル・ブラク(世界最古の都市)。麦がお金に相当した。
物々交換では、相手が見つからない場合がある。麦なら問題なし。
物々交換ができるのは人間だけ。
チンパンジーは、ブドウとリンゴを選ばせればブドウを選ぶのに、自分がもっているリンゴと相手のブドウを交換しない。信頼関係がないから。
交換が盛んになり、様々な職業(120種類)が生まれた。→人口が急増
米、塩、羊、などもお金と同等だった。
アテナイの生んだもの:哲学、民主主義、演劇、コイン(高純度の銀)
米、塩、羊、は品質が不確定、コインは信頼できる銀として広がった。腐らない永遠の価値。安定した未来につながるという希望の芽生え。
お金は個人を作った。集団からの孤立・解放
銀の枯渇。古代ローマのコインの純度の急激な劣化と大量コインの製造。純度が下がっても価値が変わらない、いわゆるお金の発生。
副側線条体(快楽をつかさどる)→お金を求める欲望には限りがない。
格差社会→体力殺戮。税の徴収、借金の発生、強制労働、アマギ(人類初の借金棒引き制度)
発展と格差のバランスは?ラトガース大学の実験。金持ちと貧乏人。貧乏人にお金を渡すと、金持ちの快楽反応が強くなる。お金以外のものに価値を置く脳の働きがある。公平性を気にする。
以 上
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