挫折について (中野孝次「人生を励ます言葉」より)
貧しいのは恥ではない、貧しいのに貧しくないふりをするのが恥だ。無知は恥ではない、知らないのに知ったかぶりをすることが恥だ。:プラトン「ソクラテスの弁明」より
生涯に挫折を一度も知らないような自信家ぐらい、いやな、つまらぬ人間はいない。自信家は他人の痛みを察することができないからである。
ひとは自分が痛みをもつことで初めて他人の痛みを知る。
ひとはそれぞれ違う環境に生まれ、異なる資質、性格、才能、顔つき、体型を先天的に与えられる。運命が与えたその条件に文句をつけても始まらないのだ。ひとはその所与の運命を自分のものとして受け入れなければならず、たとえそれがどんなものであれ、それを最大限に生かしてゆくしかない。自分を受け入れ、そこから出発してゆくしかない。不平家というのは、最後までその自分の運命を受け入れられなかった人のことだ。
ひとのことはどうでもいい。自分が本当に自分の生を生きているかどうか、大事なのはそのことだけだ。
以上
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