思想について (中野孝次「人生を励ます言葉」より)

良識は万人に等しく公平に分配されている。重要なのはこの「神事と虚偽とも見分けて正しく判断する力」を、眠らせておかないでつねにまったく働かせることだ、それが思想をもつということだ。:デカルト「方法序説」より

新しく起こる事態にたいし日々そのつど自分の目で見、たしかめ、考え、真実と虚偽を見分け、これが正しいと判断したことを勇気をもって行なうこと、これが精神を働かせるということなのだ。これは同時に、自分の精神で十分に考えたこと以外は口にしないということに通じる。

後世に残すべきものの第一は金だ。次に土木事業のような事業だ。そして金をためることも事業も自分にはできぬとわかったら、あと残るのは自分の思想だ。金も事業も誰にも残すことのできる遺物ではないから最大遺物ということはできない。一個の人間の生きた生涯、しかも「勇ましい、高尚な生涯」こそが、誰にでも遺せる最大の遺物だという結論に達する。:内村鑑三「後世への最大遺物」より

以上