素直な戦士たち 城山三郎
ぼくが寄り道なら、お兄さんは直線コースの専門家だよ。そぐ横に在るものに気づかないんだもの。
女の愛には、一点、無知なものがある。
親たちが、それぞれ個人生活を全うし、子供を個人として主体的に生きさせる。親と子の関係をそうした目で洗い直すことが、いまわれわれの社会でも必要とされているのではないだろうか。
親が子をさめた目で見つめることが、まず必要なのではないだろうか。
解説 佐藤忠男
われわれの社会は、疑似科学的で相互に矛盾しつつくるくる変化する無数の学説にあふれていて、それにひっかきまわされている。
われわれの社会は、こんなことをしていていいんだろうか、と思いながら、ただ、それを続けるよりも止めることのほうがはるかに困難であるために、なんとなくずるずる破滅に至るまで続けているということに満ち満ちているのではないか。
ゾッとするような怖さを作者の城山三郎は描きだしている。それは、自分流の生き方や信念を持っているように錯覚していながら、じつはさまざまなあやしげな学説やら惰性やらに流されているわれわれの姿である。
以上
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