Prof. MINAGAWA's News

  • 維新の怪傑ー河井継之助ー

    誰か:

    戊辰戦争で最大の激戦といわれる北越戦争を指揮し官軍にやぶれた,長岡藩最後の家老.

    特徴:

    1.武士は主君のために存在しているという,武士の忠誠心のかたまり.
    2.陽明学を学び,事を起こすとき,その結果の利益を論じないことに美意識を持っている.
    3.民政官として卓越した手腕を発揮し,農民から慕われた.
    4.維新の際に,不幸にも家老に抜てきされてしまう.
    5.会津藩と官軍の間で,断固として中立を守ろうとした.
    6.そのために,長岡藩を結果的に官軍と敵対せしめ,滅亡に到らしめた.
    7.明治政府は,河井の中立性を拒否して長岡藩を滅亡させたことを大きな失敗だったとした.
    8.長岡藩という小藩の家老という職はあまりにも器が小さすぎた.

    尊敬する理由:

    1.無原則でいい加減な言動が目立つ現代において,最後の武士らしい武士としての河井の美意識にうたれる.
    2.勝てば官軍の時勢に屈せず,官軍に非ありとして,中立を守ろうとした潔さに感銘を受ける.
    3.自分の美意識のためにかえって自分の立場に縛られた行動をとってしまったことに悲しみを感ずる.
    4.知己を後世に求め,未来の世から評価されようとした.人はある瞬間でさえ,人から良く思われたいという欲望を押さえられないのに対して,一藩の人名を犠牲にしてまでも,中立性を貫こうとした.

    しかし納得できないところ:

    自分の理想に自分が殉じるのはいいとしても,一般大衆を不必要な戦争に巻き込んだことは,どう考えてもやり過ぎである.しかし,これについてはもし官軍側に少しでも河井を理解できる器の大きい人物がいたならば,戦争には到らなかったのだろう.

    出典:

    司馬遼太郎:峠(上下),新潮社.


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