グラフェンに代表される二次元層状物質の中でも、半導体の性質をもつ材料の光学的・機械的特性に関する研究を行っています。

・ 二次元層状物質の円偏光発光/検出素子開発

二テルル化モリブデンは、近赤外光放射する半導体材料です。
グラファイト、六方晶窒化ホウ素、単層MoTe2を組み合わせた円偏光発光/吸収素子作製に取り組んでいます。 デュアルバックゲート電圧操作による面内PN接合形成することで、電流注入によりPN接合界面から発光が起こることを実証しました。

・ 二テルル化モリブデンの熱安定性

二テルル化モリブデン(MoTe2)は、大気中で容易に酸化されてしまう材料です。
我々は、六方晶窒化ホウ素(hBN)でMoTe2を封止することで、MoTe2の熱安定性が大幅に改善されることを光学的に実証しました。
さらに、熱処理することで、hBN/MoTe2界面不純物が除去できることを発見しました。

・ 二次元層状物質を用いた共振型NEMSセンサの開発

遷移金属ダイカルコゲナイドの単分子膜は結晶構造に空間反転対称性の破れがあるため、ピエゾ電界効果が生じる半導体材料です。
六方晶窒化ホウ素(hBN)と組み合わせた積層構造を励振膜として用いた共振型NEMS素子の開発を行っています。
励振膜に応力を印可した際の圧電効果による出力電圧検出に成功しています。


研究室配属希望者へ

研究指導について
研究室配属直後は、原子層の劈開、探索、積層などの基本的な内容を学んでもらいます。その後、研究室で設定したテーマに沿って実験を行ってもらいます。デバイス構造の作製、光学特性や電気的特性などを評価し、データ解析、検討および考察を通して研究プロセスを学んでもらいます。得られた成果について国内・国際学会で発表し、これを通じてプレゼンテーションスキルを養ってもらいます。また、論文投稿も積極的に行っています。

求める人材について
本学の学部生で原子層を学んでいる人はいないと思います。そのため、研究室配属時点での学力は一切問いません。「研究に対する積極性があり、失敗を恐れないチャレンジ精神のある人」を求めています。特に大学院進学希望者はこれが必須となります。学力よりも、実際に手を動かして多くの実験をすることを重要視しています。