研究背景

カーボンニュートラルとは

二酸化炭素の排出量を実質的にゼロにすることを言います。これは、二酸化炭素を単に排出しないということを意味するわけではありません。二酸化炭素を排出した場合でも、その分を回収できればよいということを意味します。電力システムにおいても、再生可能エネルギーを増やすことや、火力発電により排出された二酸化炭素を回収することでカーボンニュートラルとすることは可能です。

電力システムの需給バランスとは

電力システムにおいては、電気を使う量(需要)と発電量(供給)を常に一致させることが必要となります。供給が不足すると停電しますが、供給過剰でも結果的に停電につながります。再生可能エネルギーは天候によって出力を大きく変動するので、そのような電源が多く導入された電力システムでは、再生可能エネルギーの発電出力の変動に対応するための仕組みが必要です。

電力システムにおける「調整力」とは

電力システムの需給バランスを維持するためには、発電出力を増やしたり減らしたりすることが必要です。発電出力を制御司令等に応じて変化させる能力を「調整力」と呼びます。近年では、発電側だけでなく、需要側においても電気を使う量を調整することで調整力を提供できるようになってきています。

必要となる調整力と調整力の確保

調整力がどれくらい必要かということは、需要の変動と再生可能エネルギー発電の変動の大きさによって決まります。従来からある火力発電は制御司令に応じて出力を変える能力があるので、火力発電が増えても必要となる調整力は増えませんが、再生可能エネルギー発電の大量導入により必要となる調整力も増えることになります。但し、再生可能エネルギー発電の出力変動を小さくできれば、必要となる調整力も少なくすることができます。

研究テーマ

その他

  • 占部 千由, 「リアルな挑戦」, パワーアカデミー研究者コラム vol.34 (2024)

  • 占部 千由, Joao Gari da Silva Fonseca Junior, 竹内 知哉, 「再生可能エネルギーの大量導入に伴う課題解決のための機械学習の活用」, 電気学会論文誌B(電力・エネルギー部門誌), 142巻, 6号, pp. 283-286 (2022)

  • 荻本和彦,占部千由, 「特集I グリッドコードの整備に向けた現状と期待『グリッドコードの意義と取り組み』」, 太陽エネルギー学会 学会誌, Vol.46, No.1, pp.7-13 (2020)