木村先生がこれまで携わってきたプロジェクトの一つに、「グルグル・ダイアログ」があります。これは、参加者同士の対話を通じて、自分の考えを深めたり、新たな視点を得たりすることを目的としたワークショップです。「書く」「考える」「問う」というプロセスを大切にしており、正解のないテーマについて、自分自身の言葉で考えを表現する力を育むことを目指しています。また、異なる立場や経験を持つ人々との交流を通じて、多様な価値観に触れられることも特徴です。
当日は、まずテーマに沿って自分の考えを書き出すことから始まります。その後、参加者同士で対話を重ねながら、お互いの考えについて質問したり、さらに深く掘り下げたりしていきます。人から問いかけられることで、自分では気づかなかった考えや価値観を発見できる点が、このワークショップの魅力です。最後には、それぞれが得た気づきや学びを共有し、対話を振り返ります。
グルグル・ダイアログは、自分の考えを整理したい人や、普段あまり関わる機会のない人と交流してみたい人におすすめです。また、仕事や地域活動、日常生活の中で感じている疑問や課題について、他者との対話を通じて考えたい人にも適しています。参加することで、自分の意見を言語化する力や、相手の話に耳を傾ける力が身につき、物事を「自分ごと」として捉える視点を養うことができます。
これまでのテーマも多岐にわたります。2024年は「生活の中で大切なもの、好きなもの」「これまで頑張ってきたこと」「最近気になるニュース(経済)」「私の一大事(人生の転換点)」「AIについて思うこと・感じていること」「“しごと”で大切にしていること」「SNSについて思うこと、感じること」といったテーマで開催されました。さらに2025年には、「これからやりたいこと」「最近、ちょっと困っていること」「5年後の自分のキャリア」などをテーマに対話が行われています。身近な話題から社会的なテーマまで幅広く扱うことで、参加者一人ひとりが自分の経験や考えを見つめ直し、新たな学びや気づきを得られる場となっています。

https://poniponi.or.jp/event/guruguru-dialogue/
ソーシャルデザイン研究室ではプロジェクト演習の際に、「グルグル・ダイアログ」のように、互いの意見に対して質問を投げかけながら考えを深めていく活動を行っています。研究室ではこの取り組みを「書くワーク」と呼び、文章を書く力を身につけることを主な目的として実践しています。
初回は木村先生の指導のもとで進められ、その後は研究室のさまざまな場面で活用されています。例えば、4年生の卒業研究テーマの検討や、3年生が今後取り組むプロジェクトの選定、さらにはゲスト講師を招いた講義の振り返りなどに取り入れられています。対話を通じて自分の考えを整理し、言語化する力を養うことができる点が、この「書くワーク」の大きな特徴です。
初回の「書くワーク」は、デスフェスに参加して、学んだことや感じたことをテーマに3人~4人のチームに分かれて行われました。難しかったことは、一人一人の発言時間が決まっているため、制限時間内に簡潔に相手に説明することでした。時間を気にして話すことや、タイムキープをして話し合いを運営する力が同時に身に付きました。また、質疑応答を繰り返していくにつれて、初めは箇条書きで4つほどのデスフェスの感想をまとめていましたが、最終的には質問されたことに沿った内容が増え、A4一枚分ほどの文章を書くことができました。文章が書けたことに加え、テーマに対する理解が深まりました。
現在は、卒業研究の研究内容のブラッシュアップを、4年生同士で行っています。現時点(2026年6月)で、研究テーマや内容が不鮮明な状態の人が多いですが、「書くワーク」に慣れてきたこともあり、まずは自分たちで進めたのち、先生との確認を経て内容を固めていっています。「書くワーク」を導入すると、絶えず問いや意見に向き合うため、継続的に思考を働かせることができます。その点において、卒業研究を進めていくと停滞してしまうことがよくありますが、その時に時間をかけすぎずに話し合いが行えるため非常に効果的な活動だと感じています。


文責:猪狩優衣