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日本リビングラボネットワーク

木村先生の取り組みのひとつである日本リビングラボネットワーク(JNoLL)は、市民、企業、行政、大学など多様な主体が協力しながら、地域や社会の課題解決に取り組む「リビングラボ」の普及を進めています。リビングラボとは、実際の生活の場を舞台に、多様な立場の人々が対話や実践を重ねながら、新たな価値やアイデアを生み出していく取り組みです。 

リビングラボというと、地域課題を解決するための手法やプロジェクトをイメージしがちです。しかし、その根底には、人が主体的に社会や地域に関われる環境をつくるという考え方があります。 

日本では、自分の考えを表現したり、自分で選択したりする経験が十分に積み重ならないまま大人になることも少なくありません。そのため、地域や社会について考える場においても、自分の意見を発信することに難しさを感じる場合があります。一方で、「ここなら安心して話せる」「自分を表現しても大丈夫だ」と感じられる場では、人は自然と意見を出しやすくなります。 

そのため、日本でリビングラボを実践する際には、プロジェクトを実施するだけでなく、人々が安心して関われる環境づくりが重要になります。地域課題への参加を促すのではなく、自分の興味や関心をきっかけに自然と関われる仕組みをつくることが求められています。 

この考え方は、都市生活学部の学びとも深く関わっています。都市生活学部では、まちづくりや地域活性化、コミュニティ形成などについて学びます。しかし、課題を分析するだけではなく、その地域で暮らす人々が何を大切にしているのか、自分はどのように関わることができるのかを考えることも重要な観点です。 

また、実際に社会に出たあとも、単に与えられた課題をこなすだけではなく、「誰のためなのか」「何を実現したいのか」を考える視点が求められます。地域や社会を他人事として捉えるのではなく、自分ごととして向き合うことが、新たな価値やより良い関係性を生み出すきっかけになるのではないでしょうか。 

実際にソーシャルデザイン研究室では、3年生がプロジェクト演習の一環として、渋谷区立勤労福祉会館を拠点に、人々が集まり交流できる場づくりに関する活動に取り組んでいます。人が集まる空間を考えるだけでなく、どのような仕組みや関係性があれば人々が主体的に関わることができるのかを実践的に考える取り組みであり、リビングラボの考え方とも通じる部分があると感じました。 

リビングラボの考え方は、まちづくりの手法としてだけではなく、人と地域、人と社会との関わり方を考えるためのヒントでもあります。都市生活学部で学ぶ私たちにとっても、「自分ごと」として地域や社会に向き合う視点の大切さを改めて考えるきっかけになるのではないでしょうか。 

文責:吉岡紗良