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東京都市大学総合研究所
次世代のガソリン,ディーゼルおよび水素エンジンの燃費向上を目指し、燃焼システムに加え燃焼室やピストン・軸受などの主要部におけるエネルギー損失の低減およびオイル消費メカニズムを究明できるHEET独自の特殊計測技術を開発し、超高効率化を目指すエンジンの研究拠点の1つとして多くの企業と共同研究を推進しています。
運転中のピストン/ピストンリングの摺動摩擦を計測する浮動ライナー法による摩擦力計測、すべり軸受単体の摩擦力・焼付き状態を計測する単体試験機、独自開発による薄膜センサーによる滑り軸受部の圧力分布や微細なクリアランスなどの変動を計測し、エンジン各部の摩擦力を軽減する研究を行っています。
独自開発によるスパッタリング法で作製する薄膜式熱流束センサーにより、燃焼室の熱流束を高精度で計測し、冷却損失の特性を解明しその低減を図る研究を行っています。
レーザー蛍光法を用いた油膜厚さや液滴飛散状態の計測と可視化、オイル内の添加物を追跡する手法によるオイル消費量の計測を駆使し、エンジンオイル消費のメカニズム解明と消費量軽減の研究を行っています。
新しく開発した燃焼方式( Plume Ignition and Combustion Concept, PCC )と、独自開発の高速作動高圧水素噴射弁により噴射する水素噴流の制御を行い、水素エンジンの長年の課題であった冷却損失とNOx排出を軽減させ、高熱効率・ニアゼロエミッション水素エンジンを実現しました。今後は一層の熱効率向上とNOx排出ゼロを目指します。
◆熱機関 heat engine ◆燃料 fuel ◆潤滑油 lubricant oil ◆エンジン冷却 engine cooling
◆潤滑/トライボロジー lubrication/tribology ◆水素エンジン hydrogen engine
ナノメーター単位の成膜管理が可能なALD 装置により,薄膜センサー全般の絶縁膜の形成に使っています。
エンジンの摺動部品などへの薄膜センサーの絶縁膜の形成に使っています。
この装置によって、熱流束計測センサーを製作しています。
摩擦低減を施したクランク軸、シリンダーボア、低粘度潤滑油の使用など各要素の改良により、大きな摩擦低減効果を実現しています。
他大学・企業と協力し低摩擦部品の開発を行い燃費向上を目指しています。
単気筒ガソリンエンジンに適用した浮動ライナー法を用いて、部品の摩擦力低減の初期評価を行っています。両持ち3分力センサーを用いた浮動ライナー法を適用することで、より高精度な試験が可能です。
基礎部品は、他大学や企業と協力し開発を行います。
(共同開発の一例:ピストンスカート面の個体潤滑剤適用(名城大学と共同))
次世代ガソリンエンジンの燃費向上を目指し、背反事象であるオイル消費の計測を行っています。
摩擦力とオイル消費を同時計測することが可能です。
本研究室が独自に開発した薄膜センサを用いて部品しゅう動面の油膜圧力、距離、温度の把握を行い、高い熱効率が求められる内燃機関の性能向上に貢献しています。
HEETで開発した2層膜型の薄膜圧力センサはスカート部の変形の影響を受けず、強い接触に対してはDLC膜がセンサの保護を行うことにより、これまで困難であったリアルタイムでの油膜圧力のデータ取得が可能となりました。今後は様々な箇所を計測、エンジン内のすべての摩擦に関わる事象を把握し、CAE解析精度の向上を図り、超低摩擦エンジンを実現が期待できます。
スパッタリング法(PVD法)を用いて、エンジンの燃焼ガス側に1μmの薄膜を形成することで高応答化を実現し、センサ母材に燃焼室材質を用いることで高精度計測を実現させた熱流束センサーを開発し,エンジンの冷却損失低減の研究に使用しています。レーザーの熱量をセンサ表面にステップ状に与えることが可能な応答性評価装置を開発し、センサの立ち上がり時間(63.2%値)が約20μs(=50kHz)程度であることを確認しています。
また、超低ノイズ及び高応答計測システムを開発し、大幅なノイズ低減も実現しています。
水素噴流の形状と噴射時期を最適化することによって適切に制御された過濃混合気を点火燃焼させ、熱効率の向上とNOx排出量の抑制を実現させています。この燃焼方式と本学独自開発の高圧水素噴射弁より高い熱効率と低NOx排出量を両立した次世代のクリーンな水素エンジンを開発する研究を行っています。
水素噴流の形状と噴射時期を最適化することによって、NOx生成を大幅に低減させ、CO2排出のない水素エンジンのニアゼロエミッション化を目指しています。
火花放電時の分子の発光スペクトルから、水素と窒素の発光スペクトル比を求めることでスパークプラグの電極近傍の局所空燃比計測を行うことができます。これにより噴流が点火プラグ周辺に集中している様子を定量的に計測しています。
(岡山大学 動力熱工学研究室との共同研究)
本研究室で作製した薄膜を利用した熱流束センサーで、水素エンジンの冷却損失の計測を行っている。
噴射した水素噴流の飛翔側の熱流束が、反飛翔側の熱流束に比べて大幅に高いこと、熱効率の軽減が実現できている遅角した噴射時期では、冷却損失が増加すること、この増加した熱流束の特性と、エンジンの冷却損失が対応していることなど、水素エンジンの熱効率をさらに向上させるための課題が明らかになっている。